他サイトの利用規約との整合をはかる

 自分のWEBサイトのリスクを軽減する目的で提携する企業やサイトなどの利用規約などを熟知することは大変有効な手段となる場合があります。

 たとえば

 購入した商品と著しく異なる商品が届いた場合等商品の瑕疵について当社に明らかな過失がある場合,当社は,同商品の取替,変更,キャンセル,返金等を行うものとします。 なお、同取替等に送料等が生じる場合、同送料等は、当社が負担するものとします。

という条文が自分の利用規約にあったとします。
 この条文を少しだけ解説すると、「色違い商品が届いたなど、当社に非がある場合には、取替などを当社の費用で行いますよ」というものなのですが、

 提携する決済代行業者の「著しく説明と異なる商品が届いた場合の処理」についての条文で

 著しく説明と異なる商品が届いた場合においては、売り手または第三者に商品を返品する必要が生じる場合があります。この場合、返品にかかる発送費用はお客様が支払うものとします。

というものがあったとします。

 この条文が決済代行会社の条文に存在することによって、自社の利用規約の「なお、同取替等に送料等が生じる場合、同送料等は、当社が負担するものとします」という条文は、不必要とはいわないまでも、存在しなくてもよい条文ということになります。
 なぜなら、同じ返品(返送)の費用について、自社側の規約のほうが不利な条文になっているので、「わざわざ自分に不利な条文を別な規約に反してまで掲載する必要はない」からです。

他社の規約を読むことで戦略も変わる

 これはわたしが規約作成を行った海外向けのネットショップの例です。
  このネットショップは、海外向けの「転送サービス」を行っている会員制サイトを利用して海外に商品を発送するという形態をとっています。

 この転送サービスについて少し説明すると、まず海外在住の利用者は、転送サービスを行うサイトに会員登録をします。  会員登録を行うと、日本国内にその会員名義の「架空の倉庫」が与えられます。 
 この会員が日本国内のネットショップから買い物をする場合、「お届け先」をその「架空の倉庫」に指定し、(宛名は会員名義)、商品を発送してもらいます。
  商品がその「架空の倉庫」に到着すると、その転送サイトの従業員が会員の代理人としてその商品を受け取り、会員に連絡して海外輸送にかかる費用を払ってもらって海外に転送する、というのがこの転送サービスの概要です。

 ネットショップとしては、転送業者から会員に向けての配送(図でいうと⑤~)はリスクを負担したくないというのが本音だと思います。

 そこで、わたしはネットショップの規約に次のような条文を加えました。

【転送業者】への配送の完了をもって、商品の紛失、破損、海外住所への不達又は遅達その他のリスク及び所有権は、当店から【会員】に移るものとします。

つまり、図の④の段階で商品の所有権を会員に移してしまっていることになります。

 ここでひとつ問題が生じます。
  「転送業者が荷物を受け取らない」&「会員との連絡がつかずネットショップに返送する」ような場合、規約と法律の関係のページであげた例と同じことが起こってしまう可能性があるということです。

 そこで、これら二つの可能性があるのかどうかをその転送業者の規約で調べる必要があります。
 調べてみると、転送業者は、「会員名と届け先、IDがあってさえいれば荷物の受け取りを拒絶することはないこと」、「会員が荷物の発送、受け取りを拒否した場合、その荷物をネットショップに返送する可能性は0であること」がわかりました。

 これによって、上記の条文のみで、十分リスクを消去できることがわかったのです。
  さらにこの条文があることによって、利用規約を設置する目的のページで取り上げた「詐欺まがい行為」に対しても十分に対応できる規約が出来上がったのです。(設置の仕方を間違えるとなんの意味もありませんが・・・それについては次ページで)

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行政書士・塩坂 壇

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